人間に対してもそうなのですが、私は子どもの頃、何となく身近な人はそう簡単には病気になったり死んだりすることはないと思い込んでいました。しかし、祖父や祖母が亡くなり、だんだんと身近な人の死を実感する年齢になってくると、愛犬の死についても深く考えるようになったのです。

そんな時、愛犬の様子が何となくおかしいと思い始めました。いつも元気に家の中を走り回っていた愛犬が、家の中の家具にぶつかることが多くなったのです。走り回る元気もなくなってきました。これは何かの病気ではないかと心配になり、すぐに近所の動物病院に連れて行くことにしたのです。診察が終わるまでかなりドキドキしたことを覚えています。
物にぶつかるようになったのは愛犬の目が見えなくなってきているからでした。犬でももちろん視力が衰えることはあるそうです。しかも、視力が衰えた原因は緑内障ということでした。緑内障というと人間の目の病気だと思い込んでいたので、犬でもこういった病気になるとはとてもビックリしたものです。完全に見えなくなっているわけではないものの、徐々に進行してくるというのでとてもショックを受けました。

それからは、ぶつかっても痛くないような物しか愛犬の周りには置かないようにしたり、愛犬が過ごしやすいようにインテリアを工夫したりというように、家の中を快適な状態に変えていくことにしたのです。いつもとは家具の配置などが変わってしまったことで、慣れるまで愛犬は戸惑っていたようですが、慣れてきたら家の中でも何かにぶつかることは減ってきました。

定期的に動物病院で目の状態を診てもらうようになり、最初の診断から2年経ってもまだ状態は落ち着いたままです。このまま悪くなることなく、過ごすことができたらいいなと思っています。散歩をする時も障害物に当たらないように飼い主の私が気をつけている状態です。少しでも快適に過ごせるように、いつまでも工夫しながら愛犬と過ごしていきたいものです。